2007-04-06

Psychoschizophrenia - Lillian Axe

(…写真がありませんでした。何故に!?こんな名盤が)

1993年リリースの4thアルバムです。
アメリカのバンドです。デビュー当初はアラバマ、ルイジアナあたりが活動拠点だったようですね。

初めてこのアルバムを聴いた時の感想は、正に「なんだこりゃ!?」でした。
このアルバムを聴くまでの私のLillian Axeに対する評価は良質のアメリカン・ハード・ポップバンドであり、Enuff Z'nuffとかDanger Dangerとか、そういった類のカテゴリに存在するバンドであり、このアルバムも勿論それを期待して買ったわけです。

そして1曲目のCrucifiedを聴いた時、そのギターの音にちょっと嫌な予感が走りました。時代は当時オルタナティブ・ロックやグランジが流行りであり、そういうものに影響を受けたバンドが実際にはまったく自分たちの個性にあっていないにも関わらずヘビィでダークな曲調に方向転換し、結果駄作としか言えないアルバムを作成したりしていた時期だったからです。Lillian Axeお前もかと。

しかしながら1曲目は多少エッジの効いた曲調だったもののメロディのポップさは健在で、まぁいいじゃなーい、と思っていた矢先、次のDeepfreezeですよ。初めて聴いた時思いましたね。「こんなのシラフじゃ書けねーよ。絶対キメてつくったろ」と。それほど曲構成がアバンギャルドで、しかしながら印象に残るメロディで、ただただ凄ぇーと感じたのを今でも覚えています。

次の曲は比較的まともな今までのLillian Axeでしたが、それ以降はやはり雰囲気が暗いのか明るいのかわからない曲調とともに実に印象的なメロディを伴った独特の曲が流れ続けます。そう、このアルバムでは元々バンドにあった特異なポップさが、時代の潮流であるヘビィさと奇跡的に、そして変態的に融合しているのです。その様はサイケでもあり、プログレ風でもあり、英国風でもあり、中東風でもあり、しかしながらメロディの根底はアメリカン・ポップという実に形容しにくい音楽となりました。

まぁアルバム全部がこんな感じではなく、従来路線の曲もいくつか入っているのですが、アルバムの構成から言えばそれはどちらかというと休みの部類であり、本アルバムの本質は、そのアメリカン・アバンギャルド・ハードポップさにあります。この衝撃は10年以上の時を経ても変わりなく、またこういう類のアルバムはそれ以来私はあまり記憶にありません。グランジとの融合という面で語られることの多いこのアルバムですが、個人的にはグランジとは関係なく、このバンド単体での正常な進化だったのではないかとも思います。

しかしながらこれだけは言えます。本アルバムが気に入る人はおそらく変わり者です。クセのある曲調やメロディが好きな人は是非聞いてみてください。唯一無二のハード・ポップが聴けますよ。

似てるバンドとしては、一時期Def Leppardなんかもこんな感じの曲をやっていたように思います。あとはアメリカン・ハードポップとして文中にも出てきたEnuff Z'nuffでしょうか。Night Rangerあたりでもいけるかと。あとかなーり違いますがちょっと変なメロディという意味ではRageとか…まぁ全然違うな。一風変わった独創的なハード・ポップを求めている人どうぞ!

My Favorite Song : Deepfreeze

Similar Artists: Def Leppard,Enuff Z'nuff,Night Ranger

2007-04-02

特別編 - Punkspring07各バンド感想

当日の幕張は暑さ的にはちょうど良く、暴れるには絶好のコンディションといった感じでした。
人はやたら多かったですね。次回には会場変えなきゃだめじゃない?
会場のTシャツ率はPizza of Death、Fuck ken記載ものとEllegarden、ホルモンが目立ち、続いてNoFXとAllisterといったところでしょうか。あー一人ずつだけどAnthraxとSlayer見つけました。
そんなわけで直接見たバンドたちの雑感を適当に書いていきます。

・Link
 当日入場後直接グッズ売り場にいったのですが、混雑のためマキシマムザホルモンがみられなくなりそうだったので途中で断念。一番欲しかったTHE RED JUMPSUIT APPARATUSは会場見る限り無かったみたいだし。とりあえず会場に戻ると、ちょうど本バンドが演奏を終わろうとしているところでした。
 なので最後の1曲しか聴いていませんので感想は割愛。ただ場の雰囲気はとてもよく、Opening Actとしてはその責務を十分果たす盛り上がりだったと思います。

・マキシマムザホルモン
 会場の盛り上がりは絶対3番目に出てくるバンドの盛り上がりではなかったです。曲もほとんど新譜からのプレイでしたが、会場の認知度も高くまるで全員が曲を知っているかのような乗り方でした。絶望ビリーを初め、新譜の曲は今までで最高のヘビィネス&メロディアスさであり本当にいい曲揃いですね。もう既に日本を代表するミクスチャーバンドになっていると思うし本当に30分じゃもったいない!もっと枕営業頑張ってくださいませ。
 ところで「うるさーい!ここからは全部IRON MAIDENのカバーになります!」には当日一番笑いました。

・DEAD TO ME
 初聴でしたが、昔からあるBad Religion風の典型的爆走形パンクと思いました。場の雰囲気的には前のホルモンに完全に持って行かれてましたが、演奏もうまいと思いましたし、この手のスタイルではかなり上級の部類に入るバンドだと思います。途中まで聴いて別ステージのB-DASHへ。

・B-DASH
 こちらもかなり盛り上がってました。個人的に知名度は今いちかと思っていたのですが、認識不足でした。会場的には不利かなと思われるグリーンステージでも、かなり後ろの方でも実に切れのいいサウンドが聴けました。特にドラムの人が頑張っていたように思いました。最後まで聴いていたかったのですが、THE SUMMER OBSESSIONが見たかったので後ろ髪を引かれつつ移動。本バンドは今度しっかり聞き直してみたいと思います。

・THE SUMMER OBSESSION
 本日の期待してたけど残念バンドその1。本来さわやかでメロウな曲が持ち味だと思っていたのですが、会場では勢い主体で爆走気味の演奏を行っていました。まぁそれはそれでいいんですが、個人的に期待していた雰囲気と全く異なっていたので残念です。演奏はボーカルは高音も出てうまいと思いました。んでこいつら3人だっけ?

・THE RED JUMPSUIT APPARATUS
 本日の期待してたけど残念バンドその2。いや演奏は特に問題なかったし、選曲もまぁアルバム1枚なんですが私の好きなFalse Pretenseとかやってくれたんで文句はないんですよ。でもね、ボーカルが全然高音が出ていなく、微妙なスクリームによるフェイクを繰り返すだけ。でも途中で謝ってたようにも聞こえたから、普段はもっと声が出てて当日は調子が悪かったのでしょうか?もう一度単独でもいいから見たいです。いい曲を書くバンドなんだから頑張れ。何ならSAOSINのボーカル連れてこい。

・9mm Parabellum bullet
 初聴。BRANKY JET CITYと中島みゆきがメタルコアやったらこんな感じになるんでしょうか。感動させられるよりも感心させられるタイプの、まだかなり限定された範囲でもてはやされる音楽という印象を受けました。でもかなり好きな部類かも。これから成長していって大化けする可能性大。本日の収穫でした。

・THE TOY DOLLS
 本日の収穫その2。正にライブ・アクトという言葉がぴったりの、テクニックだけではない演奏のうまさは見てて感動しました。こういうバンドはもっと評価されてしかるべき!彼らを見られただけで、この会場に来た意味がありました。楽しかったー。つーか3ピースの一つの完成系をみたような気がする。

・KEN YOKOYAMA
 演奏は見てて余裕が感じられました。ベテランの域なんすかね。まぁもともと曲があまり好きなタイプではなく、ライブで聴いてもそれは一緒だったですねごめんなさい。途中でPROTEST THE HEROへ移動。

・PROTEST THE HERO
 残念な点が2つ。彼らはパンクというよりはメタルコア、しかもプログレ風味の複雑な曲構成が持ち味なので、事前に曲を知っていないと魅力も半減するタイプのバンドだと思います。大きいステージの方が良かったんじゃないのかな。つーかLOUDPARKでいいのにこのバンド。あと1つは、なんでDROPKICK MARPHYSと重なるんだよ!最初の2曲のみで移動。無念。STERIOGRAMも聴きたかったなぁ。

・DROPKICK MARPHYS
 曲の盛り上がる部分で前に出てきたのが、バグパイプとアコーディオンだった図にはちょっと笑わせてもらいました。でも実に男の香りのするアイリッシュ・パンクは掛け値なしに格好良かったです。音がちょっとつぶれていてあまり聞こえない楽器もありましたか。最後の方はバグパイプも見当たらなかったし。

・ELLEGARDEN
 本日の収穫その3。新旧織り交ぜたセットリストの曲の良さは今回参加アーティストの中で一番だったのではないでしょうか?本バンドはちょっと離れてみてましたが、アルバムでいいや的な私が、まさか感動させてもらえるとは思いませんでした。外野に流されるとこでしたが、やっぱり自分が好きな曲はどうやっても好きなんですね。

・JIMMY EAT WORLD
 エモの王道バンドらしく、聴かせる演奏でございました。聴衆も解っているようで、今までのバンドとは歓声の出方が違ったのが印象的でした。本当はTHE SUMMER OBSESSIONもこんな感じでやって欲しかったのになぁ…。全部聴きたかったけど、途中でALLISTERへ移動。まぁアルバムでいいかな、とか思ってしまいましたすいません。

・ALLISTER
 本日の収穫その4。パンクの楽しさを表現するのに既存の日本の曲を使うのはちょっと卑怯と思いながらも、ノってしまうということは出来がよいということなんでしょうね。そしてまさかドラえもんのカバーやるとは!曲自体は超短かったけどTHE TOY DOLLSと同様、参加することで楽しめるバンドだと思いました。
 ただALLISTERって活動休止になるんですね…残念でした。もっと早く出会っていれば。

・NEW FOUND GLORY
 個人的本日のイチバン。彼らの曲がこんなにライブ映えするとは思っていませんでした。曲も矢継ぎ早にやっていた感じがありましたし、ライブ・バンドだったんですねぇ。良かったです。でもあのベースが自分の乳首をなめるパフォーマンスは意味が全くないと思いました。バカをアピールするぐらいなら演奏だけやっててくださいデブ。

・NoFX
 本日の期待してたけど残念バンドその3。もっとガンガン曲をやってくれるのかと思いきや、かなりの割合をMCが占めていてテンポが殺されていたように思います。まぁ、そんなことをこの大御所バンドに指摘する意味なんて全くなく、生粋のファンの人はそれが解ってて楽しんでいるんでしょうけどね。トランペットと美声はかっこよすぎて笑わせてもらいました。パンクの何でもありっぽさを一番感じたのはこのバンドでした。

 以上、全体的には概ね満足でありました。来年は何が来るのかを楽しみにしながらまとめを終わります。残念ながら今回来日しなかったPARAMOREの今後のご活躍を期待しております。まぁ多分9mm Parabellum bulletの方が上だけどね!

特別編 - Punkspring07雑感

突然ですが特別編です。行ってきましたPUNKSPRING。
元来生粋のメタラーであるこの私、最近メタルコアを介してパンクにも趣味を持ちつつあったのですが、今回のPUNKSPRINGは面子も個人的になかなかツボだったということもあり、フェス系ながらパンクのライブへ初参加してきました。
そんなわけで同じイベント系列のメタル系イベントであるLOUDPARKにも参加したこの私が、2つの違いを比較しながら、というかメタル好きからの視点での感想を述べてみたいと思います。

・女の子が多い
近年はメタルのライブにも女性の参加率はなかなか高いですが、比じゃないですね。全体の半分超えてるんじゃなかったかなぁ。
参加しているバンドの面子にもよるんだろうけど、でもELLEGARDENとかPIZZA OF DEATH関連だけでなく、NEW FOUND GLORYやらホルモンやらAPPARATUSやらDROPKICK MURPHYSでも盛り上がれるってことは、多分パンク自体を好きな子が結構多いんでしょう。
特に女性だけで数人のグループってのを良く見かけたように思います。メタルではさすがにそれはないもんなぁ(Dir en greyはいましたけど、あれはグループっていうよりチームだったような)。LOUDPARKでは逆に一人で来てそうな女の子は少々見ましたけど。周りに同じ趣味がいないのかなぁとちょっと心配になりましたよw。
まぁ今回LOUDPARKに対して女性トイレが増設されていたにも関わらず、至る所の女性トイレに行列が出来ていたのは、少々カルチャーショックでしたw

・若い
これはさすがパンクと言わざるを得ませんw。NoFXやDROPKICK MURPHYSのようなベテランバンドも結構いたんですが、全体的に参加者が若かったように見えまして、明らかにおっさんっていう人を少なくとも私はほとんど見ませんでした。というか、先に挙げたバンド目的で来た人って、実は少なかったんじゃないのかな?あーあと、英語だろうが日本語だろうが関係なく盛り上がれますねここの人たちは。これも若さ所以なんでしょうか?それともそれがパンクというジャンルなのかな?

・モッシュに慣れている
今回私の見ていた周りでも結構激しめのモッシュが出来ていましたが、思ったより怪我もなく楽しんでいるように見えました。見た目は派手なんですけど、何か頭振るところではみんな合わせて頭振って、ぶつかりあうときは必ず背中からみたいな、怪我のしないモッシュの方法やルールみたいなものを知っているように見えました。LOUDPARKの方がなんというか後ろは整然としてましたが、前の方は乱暴でしたね。あとやたら踊りが激しい人には太った人が多かったw

・音がいい
今回聴いたほとんどのバンドの音が、LOUDPARKで聴いた音のほとんどより良かったです。勿論あの空間なんで理想的な音響とは決して言えませんが、各楽器の音がきちんと聞き分けられる程度にはなってました。後ろの壁がぶち抜きだったのが多少関係あるのかな?何にせよ、今回は知らない曲でも曲の音像やメロディを聞き分けることが出来てその面では満足しています。おかげさまで参加バンド全てが、LOUDPARKの面子よりも演奏がうまく感じましたよ。実際にそうだったかどうかは次回LOUDPARKで確認することにします。

・決してビッグバンドが一番盛り上がるわけではない
これも「あぁ違うのかな?」と思った一つ。LOUDPARKでのMEGADETHやSLAYERのような大トリの大団円のような感動が、今回のPUNKSPRINGからは感じられませんでした。何というか、今回トリはNoFXだったのですが、バンドの雰囲気もよく言えばアットホーム、悪くいえばふざけあっててまとまっていない(いや、演奏自体はうまいし曲も悪くないんですが)、観客も全員が一体となっていたわけではなく前と後ろの温度差が結構あったように感じました。これもある意味パンクなんでしょうかね。黎明期のバンドがまだ第一線を張っているメタルに対して、流行廃りの世代交代が激しいのかも知れません。

まぁそんな感じで、個人的には(ちょっと年齢の壁を感じながらもw)楽しむことができました。あれですね、パンクもメタルも既に敷居や棲み分けってものがなくなりかけているのでは、とちょっと思ってましたが、こうやってみると結構まだ違う部分が見えてくるもので、非常におもしろかったです。
各バンドの感想も、メモ程度にそのうち残そうと思います。残念なのあり、感動したのあり…

2007-03-26

Pressure - Chroming Rose

(No Photo Image ... Sorry)

1992年の3rdアルバムです。
ドイツのバンドです。ただメンバー全員が生粋のドイツ人ではなく当時は東欧系のメンバーも入っていたようです。現在は…知りません。

今でも私の心に残る、非常に残念なアルバムです。
今まで聴いてきたアルバムの中で、その完成度に対して正当な評価が得られなかったアルバムを挙げるとすると、私の中では真っ先にこのアルバムが思い浮かんで来る、そんなアルバムです。

さて、本バンドを知っている人ならば、普通推薦するアルバムは1st『Louis XIV』、2nd『Garden Of Eden』を挙げることが絶対的に多いと思います。それには私も全く異論はなく、元々本バンドはHelloweenを筆頭とするメロディック・スピードメタルのカテゴリ内で語られるバンドであり、彼らのキャリアのピークも前述のアルバム2枚だったからです。

彼らの音楽とそのスタンスは独特で、確かにやってることは高品質スピードメタルなのですが、ギターの音がExodusのようなクランチ風味だったり、曲に(Hellowennでもたまにその風潮を感じることが出来る)コミカル調な面を更に強くした雰囲気があり、それがまたB級風味を醸しだし、本バンドの魅力の一つともなっておりました。

しかしながら、当の本人たちも多分気付いていたのでしょう。「今のままでは、これ以上バンドとしての発展は望めないだろう」と。
確かにジャーマン・メタルの中では十分にトップクラスの知名度でありながら、良くも悪くもジャーマン・メタルのB級臭さを一番強く感じさせるバンドではあり、このままでは「この位置止まり」というのは、聴いてる側からも伺い知ることが出来ました。

そこで彼らは一皮むけるために賭に出ます。HelloweenではなくAcceptからの正統進化を目指すかの如く、アルバムにミドルテンポの曲を1曲目から据え、スピード感を殺す代わりに重厚感と構成の質を高めたアルバムを作ってきたのです。そのメロディは高品質であり、実際彼らにこんな本格HMの曲を作成することができるのかというぐらい恰好良く、そして何よりアルバム名が示すように全ての曲がシリアスであり、緊張と気合いを感じさせてくれました。今までヨーデルやハッピーバースディをふざけたメタル曲にして世に放ってきたバンドとは思えません。また、アルバム内にスピード曲が全くないわけではなく、全てのアルバムを通しても最高級の出来である4.Skyline of the Worldなど、曲単体としてもアルバムの構成としても非常に優れた出来だったと思います。

しかしながら時代は彼らを見捨てることになります。まだ時代はメロディック・スピードメタルのニーズが高く、彼らのファンが欲していたのは退屈なミドル・テンポの正当派HMではなく、あくまで爽快感溢れる突っ走りスピードメタルだったのです。本バンドの従来からのファンにはアルバム全体を通して好意的な評価はされず、また本来こういった類の曲を好んで聴く人たちには、バンドのカテゴライズ面から、聴いてもらう機会すら得られませんでした。(まぁそれをバンドの責任にするのはお門違いであり、本来はプロモーションの問題なのでしょうが)

当時は少数ながら本アルバムを正当に評価するコメントも見た記憶がありますが、またまずかったのはこのアルバムのショックが尾を引いたのか、次の4th『New World』が焦点のぼやけた駄作だったことです。かくいう私も4thを聴いた時点でこのバンドの終焉を感じてしまったのですが、もし『Pressure』が正当に評価されるか、現在のような、例えばEdguyなんかが評価されている状況でリリースされていたとすれば、またその状況も変わっていたことでしょう。かく言う私も本アルバムの全体的な質の高さに気付いたのは、しばらく後だったように記憶しています。

あまりにも埋もれされるには惜しいアルバムなのですが…本当に彼らはついていませんでした。おそらく世の中にはこういう感じで消え去っていく才能は数多くあるのでしょう。それをリアルタイムで聴いて感じた私には、逆に本アルバムを今後忘れることはないと思います。

繰り返しになりますが、HMアルバムとしてはかなり上級の出来なんですよ。MegadethやらAnnihilatorが好きな人であれば必ず気に入ると思うし、Edguyなんかとも同系統であると言えるでしょう。もし機会があれば是非聞いてみてください。実に哀しいアルバムです。

My Favorite Song : Metamorphic Dreamer

Similar Artists:(このアルバム限定で) Accept,Annihilator,Edguy

2007-03-17

Saosin - Saosin

Saosin
Saosin


2006年リリースの1stアルバムです。
アメリカはオレンジカウンティのバンド、ということはAtreyuなんかと同郷ですね。

スクリームを排除したスクリーモというのは果たしてジャンルとして成り立つのかという疑問がありますが、本バンドは一応スクリーモの最終形態という呼称で紹介されることが多いです。ただし曲の中に目立った叫び声は入れられていなく、普通のエモバンドとして紹介されても問題ないと思いますが、確かにこのアルバムを聴く限りでは、スクリーモ側に置いておきたいのも納得出来ます。

曲のメロディや構成はThursdayなんかを想起させる、ある意味フォーマットの知られた憂いのある湿っぽさなんですが、このバンドの特徴はその楽曲に普通にハイトーンボーカルを用いて歌い上げていることにあると思います。正に「歌い上げるスクリーモ」。これによりドラマティックの度合いをスクリームなしで維持し、バンドの雰囲気としてスクリーモ風味を残すことに成功しているんだと思います。

この系統のバンドでは重要なメロディの質もいいし、演奏も実にタイトで、パンクっぽい軽さはあまり感じません。むしろLostprophetsとかHoobastankあたりに近いのではないでしょうか。もし彼らがThursdayをプレイしたらこんな感じの曲ができるんじゃないかなあ。

このバンドを聴いていて思ったのは、そもそもスクリーモというジャンルはバンドの表現力の稚拙さから出来たジャンルではないのか、ということ。もちろん感情の移入や曲の構成からスクリームを楽曲に取り入れること自体は否定はしませんし、効果的に使用しているバンドがあることは認めます。ただ過去に出てきた著名なスクリーモ系バンドがどんどん曲中のスクリーム比率を少なくしてきている事実と、挙げ句の果てには本バンドのような形で表現の質の高さを提示されて、しかもこのバンドをスクリーモという位置づけで定義してしまった場合、結局この手のタイプの楽曲ではスクリームする意味は全くないという結論には至らないんでしょうか?

上記の疑問に答えてくれるバンドは、個人的にはAlexisonfireとかSilversteinだと思っているのですが、今後本アルバムを超えるような質のアルバムを他のスクリーモバンドが提示できなかった場合、スクリーモというジャンルは過去の遺物として葬り去られていくでしょう。その意味である意味最後通牒のような意味合いを持つアルバムでもあります。

北欧やアイスランドあたりの北の方のバンドが持っている冷たい寂寥感も有した希有なバンドだと思います。ただ雰囲気としては冬というよりは寒い夏。そんなわけで是非聴いて欲しいアルバムですね。ちなみにジャケットのカブトムシはあまり気にしない方がいいと思います。

My Favorite Song : Follow the Feel

Similar Artists: Thursday,Silverstein,Lostprophets

2007-03-11

When Everything Falls - Haste the Day

When Everything Falls

2005年リリースの2ndアルバムです。
アメリカはインディアナポリスのメタルコアバンドです。

残念ながらこのバンド、2007年3月現在未だ日本デビューは果たしておりません。個人的には本バンドはメタルコア勢の中でもトップクラスの実力と楽曲をもっていると思いますので、何故日本デビューがこんなに遅れているのか不思議で仕方ありません。

スクリームパートの突進力、メロディアスパートの煽情力もそれぞれ一級品ですが、本バンドの魅力はそのメタル的なギターの音と使い方です。多分ギターはジャンルとしてはメタルが好きなんでしょうね。リフの使い方や、曲の所々に出てくるソロの切り込み方が、正にメタルに影響されました、といった風情で出てきます。いわゆるギター単独でその曲の主メロになりえるIn flames的なアプローチもありますし、Iron Maiden的なキメもあり、アメリカのバンドにしては曲の構成面での凝り方を特徴にした珍しいバンドだな、という感じを受けました。また、通常のメロディアスなパートでも、バックの演奏はメタルのような(というかメタルそのものですね)音で、あまりクサメロ臭が強くないため、メタルコアの中でくくらずに、いろんな層にアピールできる楽曲が多いと思います。

個人的には本バンドの弱点は、スクリーム時のボーカルの軽さかなと思います。軽めの音質で高いところをぎゃんぎゃん喚いているスタイルは劣化版Cradle of Filthといった感じで、ちょっと2流以下のブラックメタル的な印象をうけてしまいます。ここがもっと印象的に使えるようになると、このバンドはもっとかっこよくなると思うんですけど、それは次作以降に期待ということで。

まぁ結局この手のバンドってのは、どれだけ良質のメロディをサビに持ってこれるかというのがポイントの一つ(というか評価の8割方を占める)な訳ですが、このバンドはボーカルだけではなく、ギターリフも非常に練られた良質のメロディをもっており、これが他のメタルコア系のバンドと一線を画しているという感じです。1stも良いアルバムでしたが、本作では曲の構成がよりコンパクトになり、スクリームとメロディを歌い上げる部分のメリハリもついて、非常に良質のアルバムとなりました。

AtreyuとかIt Dies Todayとか、Triviumとか好きな人は聞いてみて絶対に損はないでしょうし、UnderoathやHopesfallも全然いけると思います。むしろAtreyuやHopesfall、Silversteinを洗練させたように感じる時もあるぐらい、完成されているバンドだと思います。

あと、このアルバムの最後の曲である12.Long Way Down。これGoo Goo Dollsというバンドのカバーなんですが、オリジナルより演奏がヘビィであり、テンポアップもしてノリがよくなっており、本バンドのオリジナルとしても遜色ないようなかっこいい出来になっています。(まぁ元々の曲もかっこいいんですけど)個人的に、カバーをうまく自分色にアレンジできるバンドは、その後の曲も変わらず大好きになる率が非常に高いので、本バンドには非常に期待しております。新作が2007年3月予定とのことで、またよければ良いなぁ。

My Favorite Song : When Everything falls

Similar Artists:Atreyu,It dies Today,Trivium,Underoath,Hopesfall

2007-02-26

Countdown to Extinction - Megadeth

Countdown to Extinction

1992年リリースの5thアルバムです。
アメリカの自称インテレクチュアル・スラッシュ・メタルバンドです。
未だによく意味がわかりませんが、一応起伏に富んだ曲をテクニカルに演奏する『知的な』スラッシュメタルバンドとのことです。
まぁこんな肩書き既に年寄りしか知りませんがね。

Metallica,Megadeth,Slayer,Anthrax…いわゆるスラッシュメタル四天王。今さらながら思い返してみると、これほどきっちり特徴が分かれているバンドが同一カテゴリの内で語られているのも実に面白いですね。多分知らない曲を聴かされても、この4バンドのうちどれかの曲です、さてどれでしょう?という質問ならば、必ず正答できる自信があります。まぁあくまで彼らが全盛期だったころの話で、現在の新曲を聞かされて答えを求められてもちょっと解らないかもしれませんが。

さて、そんな中で本バンドの特徴は、簡単に言うと重くザクザクとした金属的なギターリフと、妖しくねちっこい声とメロディのボーカルです。本アルバム以前のMegadethというのはその中でもどちらかというとその鋭角なギターリフから印象づけられる、テクニカルで冷たい印象を与える演奏が注目されていました。それがこの前のアルバムである『Rust In Peace』あたりから演奏主体から楽曲主体にベクトルが変わり、本アルバムではミドルテンポを主体とし、それまでのスラッシュ的なリフや曲展開を破棄したようなシンプルでヘビィな曲を揃えました。その結果、本バンドのもう一つの特徴である、メロディがクローズアップされることになったのです。

デイブ・ムステインの妖しくしかし印象的で魅力的なそのメロディは、より普遍的なヘビィメタルの特色を色濃くした本アルバムにてようやく主役となりました。楽しい時とかに鼻歌で歌うようなメロディではないのですが、夜道を一人で背中を丸めて歩いているときにふと口ずさむ様なメロディとでもいうのでしょうか。とにかくメロディメイカーとしての素質は非常に異質でありスラッシュメタルに止まらないことが、このアルバムにて証明できたのではないかと思います。当時はメタリカの『Metallica』の影響だとか思いましたが、あのブラック・アルバムも素晴らしい完成度だとは思いましたが、メロディの魅力という点では個人的には本アルバムの方が上でした。

またマーティ・フリードマンの流暢でメロディアスなギタープレイも、その印象を色濃くしてくれます。彼のギタープレイというのはアメリカ的でもヨーロッパ的でもない(和風ってわけでもないですけどね)独特の風情があり、それが本バンドの妖しさにマッチしているのだと思います。ただ本アルバムというか、Megadethにおける主役はあくまでボーカルメロディであると私なんかは思いますが。

この次の6thアルバム『Youthanasia』は、Megadethらしからぬメロディにポップさと暖かさを感じる曲がちらほらありますが、まだまだデイブ・ムステインの妖しいボーカルは健在で、こちらもいいアルバムであり、お勧めです。

Megadethに似ているバンド…やっぱりMetallicaですか。四天王の中では似ている面も多いので。初期のころであればKreatorなんかも近いと思いますし、あと印象的なメロディや曲構成という意味で、ちょっと意外なIced Earthとかもどうぞ。

しかしマーティさんは日本で活躍しすぎだね。つーか馴染みすぎだね。

My Favorite Song : Architecture of aggression

Similar Artists:Metallica,Kreator,Iced Earth

2007-02-18

Blackwater Park - Opeth

Blackwater Park

2001年リリースの5thアルバムです。
スウェーデンはストックホルムが誇るプログレ・デス・メタルバンドです。

昔から曲の激しさというものが大きな特徴であるデス・メタルでは、その特徴を突き詰め演奏の技巧や複雑さを競うようになるのはある意味必然と言えますし、例えばCynicやら現在ではMeshuggahなんかがその代表的なバンドだと思います。そして彼らも技巧派という意味でプログレとカテゴライズされることがありますが、Opethというバンドを説明する際に使用されるプログレという単語の意味は、彼らとは全く違う意味でのプログレッシヴです。

何が彼らと一線を画するかといいますと、一般的にKing CrimsonやPink Floydに代表されるプログレの音楽を、その音楽性自体を本当にデスメタルの中に融合させていることです。デスメタルの過激さとプログレの構成美とメロディ、これが融合された楽曲は、曲によって多彩な色合いを見せ、どちらが好きでも文句なしにかっこよく聞こえます。まぁ全編デス・シャウトではなく、曲の動と静の動の部分を表現する際にデスボイスを使用しているのであって、静の部分はフォークや民謡を思わせるようなアコースティックが入ったりしてそのままプログレ的なアプローチなんですが。動の部分でのリフなんかでも、普通にKing Crimsonが使いそうなリフの上で演奏してたりして、その優れた構成力でただの影響に止まらず自分たちの楽曲として消化している印象をうけます。

特に本アルバムでは、楽曲が一際特異な感覚を持っています。個人的にはそれを一言で言い表すと『浮遊感』だと思ってます。霧に包まれ濁った沼地の僅かに上をふわふわと漂っているようなその感覚は、このバンドの楽曲でしか感じることのできない感覚です。ドゥームともまた違い、ゴシックともまた違う。やっぱりどう聴いてもプログレなんですよ。(またこれがウィスキーやらブランデーやらにマッチしちゃうんですよねぇ。あー)
また、このバンドギターソロがデスメタルでは滅多に聴かれない非常に正統派な音運びをするため、それがまた混沌とした幻想的・浮遊感たっぷりのリフの中に急に切れ込んできたりするので非常にそのメロディが印象に残ります。

特に個人的浮遊感の強いこのアルバムは、非常に私的名盤であり墓に一緒に埋めて欲しいぐらいなんですが、ライブでは最近このアルバムからの曲はなかなかやってくれないみたいですね。まぁ無理もありません。このバンドの曲は1曲10分オーバーなんて当たり前ですからね。このアルバムも1曲インストが2分弱の他は6分弱の1曲を除き全て8~12分…。これもまたプログレからの影響でしょうかね。

そういや、先日Loudparkというフェスにて本バンドはとうとう初来日を果たしました。いや、凄かったです。何が凄いってリズム隊が何気ない顔してさらっと超絶的なフレーズをやるんですよ。ドラムは平然とした顔してるし、ベースは演奏中歌舞伎役者よろしくずっとぐるんぐるん頭回してるし、なんであんなんであんな見事な演奏できるんでしょうね。感動しました。

同じようなタイプのバンドがいない本当に唯一無二のバンドであり、孤高の存在です。プログレ好きは、本バンドが一応デス・メタルであることを割り引いても、聴いてみて損はないと思います。逆にプログレが退屈であまり好きではないという方は、あまり楽しめないかも知れませんね。

似てるバンドとしては、プログレ系からはKing Crimsonと、あとはPain of Salvation、メタル系からは一応Meshuggahを。

My Favorite Song :Bleak

Similar Artists :King Crimson,Pain of Salvation,Meshuggah

2007-02-12

The Spectral Sorrows - Edge of Sanity

Spectral Sorrows

1993年リリースの3rdアルバムです。
スウェーデンはフィンスボルグという、ストックホルムから約200km離れた町にて結成されました。

メロディック・デス・メタルという音楽はいつどこから誰が始めた音楽であるのかというのは、CARCASSやらAT THE GATESやら諸説あり、本バンドの名もよくその議論の中で挙がります。実際のところデス・メタルという音楽は元々スラッシュメタルの過激な部分のみを抽出することによって成立した音楽であり、その存在意義はメロディに傾倒していったスラッシュメタルを拒絶しベクトルを異にするアンチテーゼのようなものであったのですが、そのデスメタルに対してまた先祖返りの如くメロディを導入するという発想自体は、実は特に難解ではなく、それに近いことをやっているバンドもいくつかありました。逆に、曲の構成や演奏的にデス・メタルにメロディを導入せざるを得ないバンドもあったのです。純粋にデスメタルだけで曲を構成するのも、しんどいと思うんですよ実際。

ではなぜメロディックデスがジャンルとして確立されたかというと、そのメロディの導入をボーカルではなくギターリフで行ったというところが肝要であり、それゆえメタルファンに受け入れられたという理由もあるのです。メロディ導入によりどうしても音的に弱くなってしまうボーカルをデスボイスのまま、ギターにメロディを担当させヘビィさを保つという発想が、実はコロンブス的発想というよりは、革命的手法だったのではないかと思います。

そんなギターリフでメロディを奏でる典型的メロディックデスのイメージを一番最初に形作り、そして世に広めたのはこのバンドのこのアルバムであると私は思います。デスメタルの過激なリズムセクションを伴い、まるでジャーマンメタルのようにギターリフが哀愁全開のメロディを奏でながら疾走する…いわゆる北欧メロデスの原型(というかこの時をして既に完成形とも言える)がここにあります。

本作において、Edge of Sanityの掲げたメロディックデスは一旦完成形が提示されました。その方程式を忠実に守りつつ、曲の構成美を突き詰めメロディの質を向上させた4作目の『Purgatory Afterglow』は、メロディックデスの完成形の一つと言っていい名盤です。しかしながら、ここで本作を紹介した理由は、やはりメロディックデスの創始的アルバムであると同時に、個人的にメロディックデスの可能性を感じた最初のアルバムであるからです。いや、実際このアルバム聞いたあとはしばらくメロデス系しか買いませんでしたもの。

実際にはIn FlamesやDark Tranquillity、Sentencedなどもこの時期には活動を開始しており、このアルバムがメロディックデスに大きく影響を与えたかという意味では、多少異なるかも知れません。しかしながら、本アルバムを聴いていると、非常に音楽的に多様な要素が入っていることに気付きます。疾走一辺倒ばかりではなく、この時期からクリーン・ヴォイスを使い分けたり、民謡的メロディを導入したり、曲展開に緩急をつけたり…。このバンドのメロディの根底はゴシックからの影響であり、それを示唆する曲も本アルバムにはしっかりリストされています。

現在、当時の北欧メロディックデスに影響されたアメリカのメタルコア系バンドがいくつも登場し、市場を賑わせています。しかし、彼らのやっている音楽は既に、この時点でEdge of Sanityが予言していた内容である…というのはあまりに端的で乱暴でしょうかね。とりあえず、当時は非常に荒涼とした氷原のような印象を本アルバムの音像には持っていたのですが、今聞くとそのメロディや曲構成には懐かしさと共に暖かさすら感じます。聞いたことのないメロデスファンの方はぜひ一聴を。

My Favorite Song : The Masque

Similar Artists : In Flames,Dark Tranquillity,Amorphis

2007-02-07

The Black Parade - My Chemical Romance

The Black Parade

2006年リリースの3rdアルバムです。
アメリカはニュージャージのパンク/EMOバンドです。

本作はコンセプトアルバムであり、ある人間の死にブラック・パレードが迎えにくるという内容の話になっています。そのためかどうかはわかりませんが、本作品の彼らはそれぞれの曲に説得力がついたように感じます。おそらく、本バンドの曲はボーカルとその主メロが中心となる構成であり、そのボーカルが紡ぎ出す歌詞が、コンセプトによりアルバム全体に繋がる意味を持つことで深さを増したということなのだと推測します。触媒が楽曲にうまく作用したということですね。

今までの作品に較べメロディが明確になり、今までちょこちょこあったメタル調の演奏も減ってある意味非常にポップに聞こえるようになりました。個人的には通常クセのあるタイプの曲をやる方が好みなんですが、このバンドの場合はいい意味でクセが抜けて曲の完成度が増したように思います。

元々はエモ/パンクというよりは、その辺のビジュアル系の一派と大差ない(失礼)バンドであると感じていただけに、この成長というか、普遍的ロックとすら言える作品を提示してきたのには正直驚きました。「死」というヘビィなテーマを、決しておちゃらけてはいないのですが、本バンド特有の軽いイメージで、まるで童謡であるかのような雰囲気に消化してしまうバンドのアイデンティティというか、懐の深さも感じました。バンドの使う主旋律は欧州的な雰囲気を醸し出していたりもするのですが、それをうまく相殺してこういった形に料理できるのは、アメリカの、特にニュージャージのバンドというのも一因でしょう。あとはボーカルのキャラの濃さですかね。

そういった感じで、人によってはQueen的な背景を曲に感じるみたいですが(特に5.Welcome To The Black Paladeとか)、ああいうクラシカルでオペラ的な雰囲気はあまり無いと個人的には思います。どちらかというと、Bon Joviとか(おぉ、ニュージャージー!)Blink-182といった、メロディに哀愁のあるパーティロック/パンク寄りでしょう。音が軽めなので、メタルコアやハードコア系とはちょっと違います。ご注意を。

あと、本アルバムは死にゆく人に対する弔いの曲ではなく、どちらかというとそれを見送る人たちに向けた曲のように思えます。逝ってしまった人は賑やかなブラック・パレードに連れられて、そんなに寂しくはないだろうし悲観することはない。笑って見送って、これからの自分たちの人生を精一杯生きていこうと…歌詞はそんな明るい内容ではないんですけどね。


My Favorite Song : Famous Last Words

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2007-02-03

Operation:Mindcrime - Queensryche

Operation: Mindcrime

1988年リリースの3rdアルバムです。
アメリカはシアトルの出身です。

世の中にあるコンセプトアルバムと言われるもので代表的なものでは、The Beatles の「Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band」やThe Whoの「Tommy」などがありますが、本アルバムもそれらの中でHMという枠を超えて語られることもある、そんな超名盤です。アナログ盤から始まり、CD、VIDEO、DVDと幾度もなく再販されていることからもその凄さが伺えます。

しかし、コンセプトアルバムというものはただそのテーマだけで名盤になる訳ではなく、音楽としての完成度の高さがまずありきであり、それに寄与する触媒という程度のものでしかない、と私は認識しています。そして本アルバムは更にその触媒がリアリズム溢れる、現代社会の身近にあるかもしれない不安や恐怖であることから、そのシリアスなストーリーとそれを盛り上げる緊迫感溢れる楽曲による化学反応も大きく、アルバムの完成度を別の次元へ引き上げることに成功しました。

当時はHMなんてのはあくまでキワモノであり、日頃蔑まれ、嘲笑の対象であるはずでした。(ちょっと言い過ぎかな?)そんなこのジャンルから、音は明らかにHRではなくHMの範疇であるはずなのに、こんな知的で壮大で高尚なアルバムが生み出された…。手法はPink Floydの模倣と言われることもありますが、それがHMでも通用することを証明したと同時に、HMの進む一つの方向を完成させたという意味でもエポック・メイキング的な作品でもありました。当時本アルバムを体験して同じ思いを持ったHMファンは多かったと思います。そもそもIron Maidenなんかも曲によってはプログレ的な雰囲気、構成を持っていますし、HM自体にそういう土壌があったことは確かです。しかしそれを明確に作品で提示したのは、実はこのアルバムが最初だったのではないでしょうか。

当時ちょうどMetallicaの「…And Justice for All」がリリースされ、本バンドは彼らとカップリングでツアーを行っています。双方ともアルバムは本来その根底に似たコンセプトを持っているのですが、当時まだまだHMの中でも更に難解であったスラッシュメタルの中からあえて高尚なコンセプトを探るという動きはなく、むしろこのカップリングはMetallicaの話題性を生かしてQueensrycheがそのコンセプトと共にクローズアップされる一因になったように思います。

そんなわけで彼らはしばしばプログレ・メタルという枠の中で語られることもありますが、楽曲の基本にあるのはあくまでJudas PriestやIron Maidenといった正統派のHMなんですよね。ただそこにPink Floydで見られるような曲構成やSEによる説得力の付加と、YESやEL&P的メロディを伴うハイトーンのボーカルラインが乗るために独特の曲調を生み出し、これが高尚というかコンクリート的というかそんな感じに聞こえることから、プログレにカテゴライズされることが多いです。
その意味でいえば、よく比較対象にだされるDream Theaterとは同じバックホーンではあるのかも知れませんが、バンドの目標というか、向かうベクトルとしては違うバンドだと言えます。RushやPain of Salvationの方がひょっとすると近いかも知れません。あと、明らかに影響を受けたFates Warningなんてのもいますが、まぁこれは言わずもがなと言ったところでしょう。

このアルバムで、陳腐ですが私はHMという音楽に無限の可能性があることを確信し、そしてその後の人生の大きな一部分を占めることになりました。今でも、その信念は私のなかで、このアルバムと共に存在しています。特にライブにて本アルバムを完全再現したDVDは、もしHMという音楽に少しでも興味があれば一度は見ておくべきだと思います。鳥肌が立つ人もいるでしょう。現在再販されているものはCD,LIVE,DVDがセットになっていてかなりお得です。

蛇足ですが、これのIIが2006年にリリースされましたが、いろいろ考えさせられました。アルバム全体としても、曲単体としても決して悪くないんですよ。でも特に印象に残らないし、緊迫感も当時には及ばないし…。アルバムとして名盤たり得るために必要なのは、そのコンセプトではなく楽曲のクオリティを引き継ぐことなのは間違いないのですが、それ以上の何かも名盤の要因として必要なのかも知れません。

My Favorite Song : Eyes of a stranger

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2007-02-01

What It Is To Burn - Finch

ホワット・イット・イズ・トゥ・バーン

2002年リリースの1stアルバムです。
アメリカはサンディエゴの出身です。
The Usedなどと並んで、スクリーモの先駆者的存在と言われています。

とはいえ、This is Screamo かと言われると、実際ちょっと違うと思うんですよね。まぁ一応ジャンル的にはスクリーモになるのかも知れませんが、ここで聴ける曲の数々はそんなカテゴライズを超えた、さわやかさや奥行き、広がり、そして隠し味的な切なさを曲に感じられる作風になっています。メロディがちょっと懐かしめのアメリカン・ロックを彷彿とさせたりして、このバンド独特の雰囲気を作り出すことに成功していると思います。このアルバムの特徴を一言で表すと、曲のダイナミズムでしょうか。

実際、スクリーム自体をあまり曲の要素として全面に出していないのもその一因にあるでしょう。確かにアルバムとしては、スクリーモというジャンルでの代表作ではあるんでしょうけど、実はこれらの曲からパンク的な要素を個人的にはあまり連想しません。4.とかはまぁパンクっぽい部分もありますし、9.なんてのはグラインド・コアみたいだし、じゃあ他になんなんだと言われても、まぁやっぱり楽器の音とかはパンクなんですけどね。

このアルバムはそういうジャンルとしての薦め方よりも、もっと普通に洋楽の好盤として推すことができるのではないかと思います。感覚的というか、受ける印象としてはEllegardenとかにも通じるものがありますし、メロディもわかりやすいので洋楽をあまり聴かない人でも受け入れやすいのではないでしょうか。そう、このアルバムは、ある意味いわゆる洋楽の「王道」なんですよね。結局のところ。

残念ながら本バンドは2ndアルバムまでをリリース後無期限の活動停止を宣言し、現在メンバーはそれぞれ別のバンドで活躍しています。それぞれのバンドではこういった系統の曲はやっていないようで、実にもったいなく、残念であります。

似ているバンドは、Jimmy Eat World、Taking Back SundayやThriceなど。Museなんかも似ている側面があると思います。典型的スクリーモよりは、メロディのはっきりしたエモ系のバンドが好きな方が気に入ると思います。
ちなみに2ndアルバムはもっとDeftonesのようなヘビィロック、HMよりの曲調になっています。こちらもなかなかよろしいので、興味があれば是非。

My Favorite Song : New Beginning

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2007-01-30

Iron Maiden - Iron Maiden

鋼鉄の処女

1980年リリースの1stアルバムです。
イギリスはロンドン出身。言わずと知れたThis is Heavy Metalなバンドです。
バンド名は中世ヨーロッパの拷問器具に由来します。棺桶の中がとげとげになってるようなやつ。

個人的に好きなアルバムは別にありますが、あえて(今更…にしても古すぎる)このアルバムを挙げるのは、本アルバムはデビュー作にして一番Iron Maidenというバンドの凄さを直接的かつ端的に表していると思うからです。

本アルバムは前述したように1980年のアルバムです。現時点で既に四半世紀以上が経過したアルバムです。なのに、このアルバムは、録音状態の程度は確かにあるものの、曲に全く古さを感じさせません。これはIron Maidenの楽曲が、その当時から既に普遍的なMaiden節というものを中心に据えて体現しているからであり、その姿勢が現在まで全く変わっていないからだと考えます。ではそのMaiden節とは何でしょう。

1.Prowlerのかっこよさ、テンションの高さは今でも色あせません。5.Transylvaniaは拳を握ってしまうし、今でもライブでは欠かされないバンドのアンセムである8.Iron Maidenも、既に四半世紀が経過した今でも十分に気分を高揚させるに足る名曲です。そしてこれらの曲は、やはり誰が聴いてもIron Maidenの曲なのです。

スピード、曲の「キメ」、リフ構成、ツインギター、おそらくそれぞれの単体で説明できるものではなく、それらが混じり合って唯一無二のスタイルになっていることがIron Maidenの曲であり、そしてそれがいわゆるHMの代名詞たるバンドとなっている所以でしょう。だからこそ、本バンドはHMを代表するバンドとしてこれだけ長く誰もが認める地位にいるわけですが。25年前の曲で普通に頭を振れるって凄くないですか?

まぁ何はともあれProwler。これがHMの存在を決定づけたといっても過言ではない曲だと個人的には思います。今更このバンドについて存在意義等を語ることもないのですが、まぁ避けては通れない道であり、偶然にも今まで避けていたとしたらそれは凄い損失だと思うので。

Iron Maidenをもし、もしも体験したことがない方がいれば、個人的には1stアルバムから順に聴いていってみることをお勧めします。時代の中でアレンジをいろいろ変化させながら、しかしながらそのMaiden節から外れることのない筋の通った楽曲群が、時代の移り変わりと共にIron Maidenの信念を感じさせてくれると思います。

音が似ているバンド…。Iron Maidenから影響を受けて派生しているバンドは数多くありますが、結局みんなIron Maidenにはなっていなく、それがまたこのバンドの偉大さを示していると思います。まぁThis is Heavy Metalという意味で、Judas Priestでも。

My Favorite Song : Prowler

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2007-01-24

The End of Heartache - Killswitch Engage

The End of Heartache

2004年リリースの3rdアルバムです。
アメリカはマサチューセッツのメタルコアバンドです。
この辺が出身地であるバンドは昔のLAメタルにちなんで、MAメタルとか呼ばれているらしいですね。

Shadows Fall,UnearthといったいわゆるAftershock系列のバンドです。彼らの中では一番様式美といいますか、曲構成の方針がHMの影響下にあると言えます。しかしながらこの方法論が独特なため、意外と昔からのHMファンには、本バンドを受け入れないという要素があるようにも感じます。

このバンドの特徴を一言で説明すると、「動」と「静」、「闇」と「光」の2極性です。ブルータルなリフが荒れ狂う楽器隊の演奏は、暗く厚い闇雲に閉ざされた、生き物の息吹が感じられない風が吹きすさぶ荒れ果てた大地。遠くで雷光が轟くそんな中、ふと風が弱まり、薄っすらと雲の薄間から光が砂漠の中の一輪の花を照らしだすような、そんな印象を私は曲を聴いてて受けることが多々あります。それが非常に私のメタル魂を揺さぶってくれてたまりません。
また、本作よりVoが変わり、メタルコア系では初めて(メタル自体でも珍しいですが)黒人がフロントマンを務めることになりました。このVoの声が、静のメロディを歌う際にゴスペルのような深い声質での歌唱を見せるため、曲の説得力と迫力が倍増したように感じました。そのシリアスさは、曲調は違えどOperation:MindcrimeのころのQueensrycheを想起させます。

前述しましたが、彼らの曲は意外と理解するのに時間がかかると思います。これは単純にメロディや歌詞という問題ではなく、その曲構成に対するアプローチの仕方にあると考えます。曲の「動」の部分がモダンなヘヴィネスを中心に据えたものであるのに対し、「静」の部分の哀しさはある意味厳かですらあり、言い換えれば古めかしい印象をうけることもあるため、「静」と「動」という要素で単純な比較ができずにかけ離れてしまい、曲全体として散らかった印象を受けてしまうのです。

その感覚は、その昔スラッシュメタルを聴き始めのときに、その複雑な曲構成が理解できなかった感覚に近いです。個人的なんですが、本バンドへの興味の入り方は、Megadethを初めて聴いてからその後好きになっていく課程と非常に似ていて興味深かったです。

とにかく、曲の構成にあまりにもギャップがありすぎるとか曲がよく練られていないとかいう理由で、彼らの曲を敬遠するのは非常にもったいないと思います。最近彼らのように曲の雰囲気自体でシリアスな展開を作るバンドも少ないですし、もしかしたら、昔HMを聞き始めた頃のような手探りで感動を探していく感覚が、本バンドによってまた再び感じることができるかも知れません。

My Favorite Song : Rose of Sharyn

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2007-01-21

The Jester Race - In Flames

ザ・ジェスター・レース

1996年リリースの2ndアルバムです。
スウェーデンはイエテボリのバンドです。
ブルータルなリフとブラスト・ビート、デスボーカルに叙情的なメロディの、むしろ主メロを担当するギターが切れ込んでいくというメロディック・デスの一つの型を確立した存在であり、また、近年のメタルコア系バンドに大きく影響を与えているバンドです。現在も現役ばりばりで活躍していますね。

ところで、私は実のところここ最近の彼らのアルバム数作に魅力を感じていません。現時点での最新作である8thアルバム『Come Clarity』は、一般的な評判は概ね良好であり、久々の傑作との評価を得ているようですが、そのアルバムでも、私がまだきちんと曲を理解していないのかと思って数回聞き返しましたが、やはりそれでも昔のような魅力を感じませんでした。

勿論決して聴くに堪えないというわけではなく、その意図も存在意義も含め、曲に関しても非常に高品質の出来だとは思います。がしかし、それでも個人的に『Come Clarity』を今後繰り返し聴くことはないと思うし、彼らに私が求めているのはこれでははないという気持ちがあり、どうしても受け入れがたくなってしまっているのです。

私が今のIn Flamesに足りないと思える要素、それは「美しさ」です。牧歌的ですらある叙情的メロディの(一歩間違えればクサい)ギターリフ。当時のこのバンドの場合、そのリフ自体が曲の主メロになるのですが、このギターの奏でるメロディを中心とし、他のパートが混然となって哀しく、激しく、そして一番重要な「美しく」曲を作り上げるというのが当時のメロデスの特徴であり、その中でもその特徴が一際際だっていたバンドであるだけに、現在の曲からこの美しく哀しいという要素が薄れているのが非常に残念であり、別の意味で哀しくなってしまうのです。

『The Jester Race』ではその泣きの要素が全体を通して溢れんばかりに充満しています。4.Moonshieldのような彼らにしか書けない独特のワルツ・メタル、5.December Flowerのような、デス声で無ければ様式美と言っても全く遜色ない曲構成、1.Dead Eternityのイントロからのハイ・テンションぶりには初めて聴いたときは鳥肌が立ちました。それでいて全ての曲に共通する哀愁に溢れたメロディは、正に「血の涙」と形容するにふさわしい雰囲気をアルバムから醸し出しています。

本アルバムに続く3rd『Whoracle』から5th『Clayman』までは、曲にその血流が脈々と受け継がれていました。しかしながら、アメリカ市場を意識しスタイルをあえて変えたと思われる6th以降は、個人的には私が彼らには求めていないスタイルでした。それが悪いとか駄目だと言うつもりはありませんが、ただ少なくとも言えるのは、私の好きなバンドが私の好みとは違う方向を向いてしまったということです。

もうあのころの数々の曲に感じた冷たい高揚感を、激しいリフの中で浮遊する心の琴線に触れるメロディを彼らから再び聴くことはないのだろうか…。本アルバムを聴くたび、完成度を実感するたびにそう思い、でも新しいアルバムがでるたびに、また期待してしまうのです。

似ているアーチストですが、現在の曲調であればメタルコア勢やSoilworkなのですが、本アルバムで比較すると、AmorphisやEdge of Sanity,Dimension Zeroの作品群が近いアルバムと言えるでしょう。

My Favorite Song : Moonshield

Similar Artists: Amorphis,Edge of Sanity,Dimension Zero

2007-01-19

Wig Wamania - Wig Wam

ウィグ・ワマニア

2006年リリースの2ndアルバムです。
ノルウェーのバンドです。地元ではかなり人気があるみたいですね。
2006年日本でも大きく話題をさらったバンドの一つです。

見た目はグラムロックかLAメタルか、はたまたKissか悪魔かというぐらい強烈な印象を焼き付けてくれるケバケバしい格好なんですが(またメンバーが結構おじさんなんできっついんだこれが)、彼らの特徴であり本質は、その化粧の下に隠れた、真摯ですらある80年代ロックへの憧憬です。

雰囲気があのころのロックがきらびやかだった時代そのまんまなんですよ。青空が似合う元気の出る曲調、気がつけば口ずさんでいるようなキャッチーなメロディは、メンバーの確かな演奏技術の下で洗練され、Wig Wam印のHRとして構築され、完成されています。あの当時を曲のみならず存在全体を忠実に再現するのが多分、このバンドの目的でもあるのでしょう。

Skid Row,Def Leppard,Firehouse,Motley Crue,Dokken…とりあえずこの系統のバンドを羅列してみましたが、このあたりのバンドが好きであれば、本バンドは試してみて決して損は有りません。というか上記バンドの一つでもストライクゾーンであれば、今の時代この系統を新しい音で試せるのはこのバンドぐらいしかないとも言えるかも知れません。

また、特に本アルバムの特徴として、曲の影響がHRというよりはどちらかというと当時のアメリカやイギリスのチャートを賑わせていた曲の数々、それらを全体的にふんだんに取り込んでいるように感じました。本アルバムでは特にポップス界隈のメロディが影響として色濃く出てるように感じました。Cheap TrickとかBelinda CarlisleとかForeignerとか。

しかし彼らは今まで挙げたバンドの真似を単純にしているわけでは決して無く、あくまで自分たちの曲として再構築していますので、あくまでリスペクトとしてとらえることができるでしょう。でもこのバンド(わざとかも知れないけど)曲によってはあからさまに何の曲に影響されたか出所がわかっちゃうんですよね。それがまたおもしろいんですが。いろんな意味でエンターティナーなんでしょう。

とりあえず、80年代の洋楽を共に楽しみ過ごしてきた方は聴いてみてください。そんな人たちにとって、このアルバムを聴いたときにうけるこの感覚は、もはや懐メロと言ってもいいでしょう。そういや例えばHarem Scaremなども、アルバムはこういう方法論だったような気もします。彼らの時代ではほぼ日本でしか通用しなかったけれど、今や意外とこういう音楽は世界的に受け入れられるようになったのかも知れませんね。

My Favorite Song : Slave to Your Love

Similar Artists: Skid Row,Def Leppard,Dokken,Motley Crue,Harem Scarem

2007-01-16

Keeper of the Seventh Keys Part II - Helloween

Keeper of the Seven Keys, Pt. 2

1988年リリースの3rdアルバム(ミニアルバム除く)です。
ドイツはハンブルグ出身のバンドです。

このアルバムを聴かずしてメロディック・スピード・メタルを語る無かれという超名盤であり、ジャーマン・メタルという呼称の典型的スタイルを確立したエポック・メイキング的アルバムであり、私がHMの入り口の扉を勢いよく開けることになった決定的なアルバムです。というよりも、私がやられたのは実際はMTVで見た8. I Want Outなのですが。

Keeper of the Seventh Keys pt.Iの方はこの以前に当時の友人から借りて聞いていたのですが、その時はあまりピンと来ませんでした。確か曲の展開が唐突すぎていまいちついて行けないな、という感想ぐらいしか持ちませんでした。それがI Want Outにやられちゃったあとは、全部よく聞こえてちゃうんだから、趣味嗜好なんてわかんないもんですねほんと。

ただこの後HMを聞くようになってからでも、しばらくはやっぱりHM特有の(と当時は感じていた)曲展開の唐突さにしっくりこなかったのを覚えています。慣れてしまえば逆に当たり前のように思うのですが、急にギターソロから転調したり、曲のスピードが変わってついて行けなくなったりというのは、この他にも当時Iron MaidenやMetallicaを聞いた際にも感じていたことであり、個人的には今でも、これがHMが一般人にあまり受け入れられない原因の一つではないかと考えています。

さて、当時本バンドの熱狂的な盛り上がりを受け、同系統の音を持った有象無象のバンドが大漁に日本にてリリースされるという事態になりました。代表的な(一定レベルを超えていた)バンドとしてはBlind Guardian,Heavens Gate,Chroming Rose, STS 8 Missionなどなど…。やはりあまり熱狂的なジャンルができあがるとそれに対して冷めた人やアンチというのが出てくるもので、またあまりの乱立のためジャーマン・メタルを語る以前のレベルのバンド等も居たりして、しばらくジャーマン・メタルというのはHM内でも微妙な扱いを受けていた時期もありました。

本来Helloweenというのは、Judas PriestやIron Maiden,Acceptに代表されるような正統派HMに、ドイツの民謡的な明るくてわかりやすいメロディを風味に加えてスピードアップ!というのが最大の魅力であるわけです。だからただこのバンドの表面だけ真似してもその原点自体を理解していないと、ただの薄っぺらな物真似バンドになってしまうだけであって、当時のリスナーもその点は敏感に気づいて取捨選択していたと思います。そしておそらく日本人に受けて、更に一部では侮蔑の対象となった理由としては、上記の本バンドの特徴が日本的な歌謡曲のメロディに近いということも影響していると思われます。

ただそんな中でも、HMとしての本アルバムの完成度を認めない人はほとんどいないでしょう。カイ・ハンセンとマイケル・ヴァイカートのHMにおける天才メロディメーカーが双方いい意味で競い合って曲を作り、その曲を稀代のハイトーンボーカリストであるマイケル・キスクが歌い上げる曲の数々は曲の質としても演奏の質としても、この手のバンドとしては望むべくもない正に理想だと思います。

流行廃りは輪廻するということで、現在ジャーマン・メタル風の系統はメロディック・スピード・メタルとその名をかえ、Sonata ArcticaやDragonforceなんかにその血流は受け継がれています。しかしながら、当時のジャーマン・メタルの勢いと共に、メロディック・スピード・メタルの一つの完成形を示しているこのアルバムは、やはりHMの歴史上でも避けて通れない一枚ではないかと思います。

My Favorite Song : I Want Out

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2007-01-15

Eleven Fire Crackers - Ellegarden

ELEVEN FIRE CRACKERS

2006年リリースの5thアルバムです。
日本のバンドです。ジャンルは一応Emoということにしておきます。

このアルバムは彼らの今までのアルバムとは絶対的に違うものが感じられました。今まででも、哀愁漂うメロディを持つ曲は多くあり、それがこのバンドの持ち味の一つでもあったのですが、今回のアルバムにはこれまでのそれらの曲中には感じられない、虚しさと優しさが同居したような妙な感覚が、全ての曲のメロディに感じられるのです。

それがこのアルバムの完成度を劇的に上げたと私は感じます。元よりメロコアとエモの間を行き来していたような感じのあるバンドでしたが、ここに来てバンドとしての色合いが若干変化したように感じます。激しい曲でも、情感溢れる曲でも、この虚しさと優しさがまるで曲を包み込むように存在しているように思われるのです。
元々歌詞の世界観はそれに近い雰囲気を持っているので、それと曲がマッチしたことが、更にアルバムの完成度を高めてるのかな?あまり歌詞にはこだわらないつもりだったのですが。

個人的に曲からこの感覚を受けるバンドは、有名どころではNirvanaとかGreen Dayとか。まぁNirvanaのようなあそこまで退廃的なものは感じませんが、曲から感じる不安と憤りが混ざったような感情が何となく近く感じられます。

最近は有線などでよく聴かれるようになりました。やはり普通のJ-Popからこのバンドの曲に変わると、ちょっとだけその場の雰囲気が変わるような気がします。このアルバムはメロコア好きよりはemo好きにお勧め、Jimmy Eat WorldやMaeなんかが好きでも、結構行けるかも知れません。

My Favorite Song : 高架線

Similar Artists: Nirvana,Green Day,Jimmy Eat World,Mae

2007-01-14

Slippery When Wet - Bon Jovi

Slippery When Wet

1986年リリースの3rdアルバムです。
アメリカはニュージャージーの…って言ってる方が恥ずかしくなりますが。
でも大丈夫。もうこの世の中、若い人は意外とBon Jovi知らなかったりするんです。びっくりしますよね。未だ現役のバンドだっていうのに。
しかし、もうこのアルバムも20年以上前になるんですね…。

全世界で当時1800万枚、現在の累計では3000万枚以上を売ったといわれるモンスターアルバムであり、Bon Joviの、もしくは80年代HRの代名詞的なアルバムと言えるでしょう。もしあなたがこのアルバムを聴いたことがなくて、そしてあなたがHRというジャンルに少しでも興味があるのなら、本アルバムは避けては通れない道であり、是非聴いてみることをお勧めします。大丈夫、今聴いてもまったく古くささを感じさせませんから。

私が洋楽を聴き出した際HRというジャンルに興味を持たせたのは、Heart,Europe,Whitesnake,そしてこのBon Joviでした。
いや、HRという意味では違うかも知れません。というのは、あの当時はこのアルバムはHRというジャンルではなく、Bon Joviというジャンルでくくっていたように思うからです。曲とか詞とかそんなレベルではなく、2.You Give Love A Bad Name、3.Livin' on a Prayerでは聴いた瞬間その音像全体に衝撃を受けた記憶があります。何だこの曲は、と。

今思い返してみると、このアルバムが売れた最大の理由とは、ポップスのメロディの強さを、当時ブルージー色が強かったHRの中にいろんな形で吸収し消化できた最初のアルバムということではないかと思います。また、楽曲から受ける印象が「健全さ」で占められていたことも大きいでしょう。ドラッグもアルコールの臭いもしない、曲は明るいがただのパーティバンドでは絶対済まされない印象に残るメロディの多彩さは、当時唯一無二の存在でしたし大きな魅力でした。

でもね、このアルバムはつまるところジャンル云々の話ではなくて、これはBon Jovi以外の何者でもないアルバムなんですよ。やっぱり。

当時は音楽以外でもいろいろと話題がありまして、John Bon Joviがセックス・シンボルとしてNo.1を獲得したなんてのもありました。
アルバムとしては実は個人的には次の4th,New Jerseyの方が完成度が高いと思うのですが、私を洋楽の道に引っ張ってくれた思い入れの深いアルバムということで。

ところで、今でもカラオケでたまに3.Livin' on a Prayerを歌います。この曲は洋楽を普段聴かない人や、曲自体知らない人が聴いても盛り上がるんですよね。やはりそれだけ曲に普遍的な魅力が宿っているということなんでしょう。キーきついけど。

My Favorite Song : Livin' on a Prayer

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2007-01-13

A Death-Grip on Yesterday - Atreyu

A Death Grip on Yesterday

2006年リリースの3rdアルバム。
アメリカはオレンジカウンティのメタルコアバンドです。
オレンジカウンティってLA郊外って感じなのかな?
日本盤は今のところリリースされていないようです。
むーもったいない。出ていればもっと話題になったのではないでしょうか?

日本盤が出ていれば、2006年で言えば少なくともKillswitch EngageやUnearthと同じかそれ以上の評価は受けていたと思います。
初めて聴いた時の印象は「BFMV?」。それぐらい一聴すると近い音を出してます。
ただしこのバンドの特徴でもあり個人的ツボなのが、ギターリフの癖があるメロディ。重くて妙に叙情的なこれが耳について離れなくて、たまにふと気づかずに口ずさんでいたりするんですよ。人によってはかなり中毒性が高いです。
昔のトリオ編成時のRageとか、初期In Flamesとかがギター目当てで好きな人なんか、かなり気に入るんじゃないでしょうか?

近年乱立しているメタルコア勢の中では、確固たる特徴を確立したバンドと言えると思います。惜しむらくは、クリーンボイス部分の弱さ。あの部分にもっと説得力がつけば、更にレベルアップできると思うんですが(女性ボーカルとかやりそうだな…)、まぁそれはこれからのお楽しみにしておきます。
あとこのアルバム30分強しかありません。まぁ唯一ハードコアっぽい要素ということで。

このバンドは2ndでかなり化けたんですが、その時に芽生えた独自のカラーを更にメロディ側に推し進めた好盤だと思います。特に輸入盤しかないからって買い控えしている方は、もったいないことしてますよー。

My Favorite Song : We Stand Up

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2007-01-12

Pride - White Lion

Pride


1987年リリースの2ndアルバム。
アメリカはNY出身のHRバンドです。

このバンドの特徴は、Voの煮え切らないハスキーボイスと、センスあるギターワーク。
ギターの音自体はVan Halenに似てるんだけど、エディーに比べれば演奏はシンプル。ただリフはストレートで歯切れ良くて格好いいし、ソロも流れるようなメロディーが印象深く耳に残るんですよね。
デンマーク出身Voの声質は賛否分かれるところだと思いますが、よく聴くと結構セクシーで曲に実にフィットする声質で、私は全然嫌いじゃありません。
(ライブは酷かったみたいですけどね。何かで私もライブの映像を見た記憶があるのですが、その時も正直微妙でした…)

アメリカンHRの脳天気さと、アメリカのバンドとは思えない哀愁感が同居しつつ、ハスキーボイスによってより魅力的に完成されるといった案配です。
本アルバムはそんな彼らの中でもメロディーワークが抜群によく、ハードな曲もバラードも全て捨て曲なしの正に名盤となっております。
少なくともHRが好きだという方は、このアルバムは経験しておくべきでしょう。
古き良きアメリカン・メロディアス・HRの完成形の一つと言えます。

当時見ていたMTVでは10.When the Children Cryがかなり長い間流れていたように記憶しています。
まわりがみんなWhitesnake聴いていた中、私一人だけこいつらを夢中で聴いていたのを思い出しました。
懐かしいですね。もう20年近く前ですか…。

思えばこの頃って、Bon Joviなんかもそうですが、アルバムがリリースされてから一番最初に注目されて売れた場所って日本だったっていうバンドがいくつか現れだした頃でしたね。
日本から火がついて世界規模で売れるという流れが一部で形成されたり、あの頃の日本はメロディに対して耳が肥えていたというか先見の明があったというか、独特のファン層が形成されていたのがある種の誇りだった様にも記憶しています。

My Favorite Song : Tell Me

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Inhuman Rampage - Dragonforce

Inhuman Rampage

2005年リリースの3rdアルバム。
イギリスはロンドン出身のメロスピバンドです。
イギリスとはいえメンバーが南アフリカ、香港などかなり多国籍ですけど。

以前プライベートでトラブルが重なり凄く凹んでいた時期がありまして、
そんな時友人に「何か元気になるおまじないみないのない?」と
聞いてみたところ、帰ってきた答えがこのアルバムでした。
元気?もちろん出ましたとも!頭振りまくりですよ悪いけど。

大抵のメロスピバンドは自分たちには疾走チューンだけじゃなく、
実はいろんな引出しが有るんだよみたいに多少はアルバムの中で
緩急織り交ぜた曲を入れたりするのですが(それが悪い訳じゃないです)、
このバンドは潔いほど徹頭徹尾スピードチューンばっかり。
入っている全9曲の中で、バラードの1曲以外は全部疾走ですからね。
ギターなんか何弾いてるかわかんないぐらいにまさに激速。
(まぁ個人的には、あのピロピロギターソロはなくてもいいと思いますが)

スピードもそうなんですが、彼らの最大の特徴としては、
この系のバンドでは珍しく、メジャーコードのアッパー系メロディで
突っ走る曲が多いこと。ある意味能天気な曲になったりする。
これと、ドラムのまるでデスメタルのようなブラストビートが絡みあい、
非常に高揚感のある楽曲に仕上がる要因となっています。
また彼らの曲はどこかで聞いたようなメロディが多く、
非常に耳に馴染みやすいため、一緒に歌いやすいのも特徴です。
その辺はまさにメロスピ界のチェッカーズですね!(喩え古っ)

1stあたりではボーカルの力量が若干心配でしたが、
アルバムを重ねるごとにどんどん歌唱力が向上していき、
またリズムセクションも元ブラックメタルバンドの凄腕ドラマーが
加入したおかげで、そんじょそこらの技巧派バンドじゃ叶わないような
名手揃いになりました。演奏については何の心配もいりません。

とにかく頭ふってストレス発散したい方や最近元気が無くて鬱気味の方、
昔はHelloweenやHeavens Gateでばりばりだったけど、最近はなぁって方、
是非おためし下さい。少々過剰摂取気味になるかも知れませんが。
似ているバンドでいえば、やっぱりSonata Arcticaが代表でしょうか。
メロスピの系統でいえば、初期Elegyの疾走曲も近い感じだと思います。

My Favorite Song : Body Breakdown

Similar Artists : Sonata Arctica,Elegy,Helloween

2007-01-11

One Way Home - The Hooters

One Way Home

1987年リリースの3rdアルバムです。
日本盤では2枚目扱いになると思います。
アメリカはフィラデルフィアのロックバンド。
元々はHootersだったのが、あとからTheをつけたのかな?
違ってたらすいません。

今じゃあお色気レストランの方が有名ですが、
彼らも一時期は東京ドームでライブできるほど知名度高かったんですよ。
シングル丸ごと日本語で歌うほど、日本びいきだったみたいですし。

本バンドの特徴はその風土臭溢れるテイストのロック。
妙にこなれた泥臭さと言うか、アメリカの民族音楽を取り入れて、
フォークやレゲエ、スカの風味も織り交ぜた
トラディショナルでおおらかなロックを聴かせてくれます。
しかし曲自体が決して古くさいわけではなく、
このバンド独自の楽曲として成り立っているのがすごいところ。
またこれが中毒性高いんですよ。嫌んなっちゃうぐらい。
私が洋楽にのめり込む要因となったバンドの1つです。

また特徴として、演奏にいろんな楽器を使うことが挙げられます。
バンドメンバーが楽器コレクターということもあり、
マンドリンやスライドギター、アコーディオンやメロディカなど、
本当に多彩な音色で楽しませてくれるバンドです。

本アルバムは2ndまでに培ってきたそういった要素が大きく開花し、
当時出すシングルがそれぞれスマッシュヒットを連発した名盤です。
MTVにもよく流されていましたので、見たことある方も多いかと。
『古いのに新しくて、懐かしいのにオリジナル』という
変わった曲風が、独自のファン層を構築していた様に思います。

ずっと解散してたと思っていたのですが、聞くところによると
ここ最近は、一夜だけ再結成してみたり、
テレビでCyndi Lauperと一緒に演奏してみたり、
なんか活動が微妙に活発になっているとのことで、
もしかしたらニューアルバムなんかも…?ちょっと期待です。

そんな訳で、似ているバンドなんているのか?難しいです。
…強いて言えば泥臭さでMidnight Oilとか?うーんちょっと違う?
あとはアメリカンロックとして、TOTOとか、王道としてU2ですかね。
この辺好きな人は聞いてみても良いと思います。
あと意外と、HR/HM好きでこのバンド好きな人も多いみたいです。
私もその一人ですけど。

My Favorite Song : Satellite

Similar Artists : Midnight Oil,U2,Cyndi Lauper

2007-01-10

Crimson - Sentenced

クリムゾン

2000年リリースの6thアルバム。
フィンランドはオウルー出身のメロデス~ゴシックメタルバンドです。
2005年非常に惜しまれつつ解散しました。日本で見たかったです。

個人的にいつも悩むのは、このバンドを説明する際に
本当にゴシックメタルバンドというカテゴリーに分類するかということ。
4th以降のこのバンドの楽曲は確かにゴシックと称されるものですが、
普通のゴシックバンドとは明らかに違う異質な雰囲気とメロディを
このバンドは持っていたように感じます。

あくまでそのHM正統派的な演奏がそう感じさせるのかも知れませんが、
個人的にこのバンドから感じていたものは、
絶望とも慟哭や怒りとも違う、むしろ諦念に近いものでした。
何か自ら求めてその悲しみの中にいるような、そんな雰囲気。
だからそんなに曲に悲壮感もなく、激情を表現したものもなく。
勿論哀愁たっぷりの中にHMとしての曲の激しさはありますので、
(むしろそれがSentencedの最大の特徴だとも言えますが)
普通にドラマチックなHMが好きな方も抵抗無く聴けると思います。

さて、本アルバムはしかしその中でも、
重く鬱蒼とした雰囲気が支配するアルバムです。
永遠に続くかと思われる暗い苦しみと悲しみの中で、
しかしそこを自ら抜け出すことなく佇んでいるかのような。

だからこのアルバムから感じる雰囲気はある種ハードボイルドであり、
個人的にはBullet for My Valentineなんかに通じるものがあります。
勿論全てが似ているとは思いませんが。このアルバム限定で。
あとDarkseedなんかにも雰囲気は近いです。

6.Killing Me Killing YouのPVは完成度が高く、
このバンドの世界観を忠実に視覚化しておりバンド名を広めましたが、
本アルバムの個人的ツボはやはり1.Bleed in My Armsのイントロ。
いつ聴いてもあの出だしは背筋がゾクゾクきます。
他にも2.Home in Despair、3.Fragileと、捨て曲なしのEndless Sorrow.
このバンドのアルバムは、3rd以降本当に外れがなかったなぁ。
惜しいバンドを亡くしたものです。

一人で寂しい冬の夜長なんかに、
部屋の隅で膝を抱えて聴いてみるのも一興ですよ。

My Favorite Song : Bleed in My Arms

Similar Artists : Paradise Lost,Bullet for My Valentine,Darkseed

City of Evil - Avenged Sevenfold

City of Evil

2005年リリースの3rdアルバム。
アメリカはカリフォルニアのメタルコアバンドです。
日本盤は2006年にリリースされています。

2006年で一番よく聴いたアルバムです。
初めて聴いたときに受けた印象は、
『The Offspiring + Guns N' Roses 』でした。
憂いのある良質メロディに、少し乾いた音質のボーカル、
それにアメリカの陽気な風味が曲にミックスされていて、
独特の雰囲気を醸し出す楽曲群が勢いよく押し寄せてきます。
とりあえず好きな音楽全部鍋に放り込んだらいいダシが出ましたみたいな。

こういう一風変わった特徴を持つバンドには弱いです。
聴き始めはやはり元々がハードコア畑ということもあるのか、
ドラムのスネア音が(HMに慣れた耳には)若干軽く聞こえたりしたのですが、
アルバムを通しての曲調は結構バラエティに富んでおり、
メタル魂炸裂ギターリフやツインリード、変わった感じのメロディラインを
ふらふらするギターソロなんかもあり、何回聴いても飽きが来ません。
前半の5曲は曲構成といいサビメロといい非常にアツくなれます。
難点があるとすれば、ダサダサのアルバムジャケットぐらいですかねぇ。

このバンドだけ、っていう特徴を持つのは非常に強みになると思います。
おかげさまで、これに似たバンドってあまり無いんですよね。
強いていえば、独自の世界観を持つメタルコアってことで、
AtreyuとかTriviumなどそのあたりでしょうか。
Blink-182みたいなメロコア好きにもお勧めです。
Iron MaidenやDragonforceといった正統派やメロスピもいけるかと。
…音がごちゃまぜなんで逆にいろんな人に勧められますね。

このアルバムによりメタルコア界隈で一歩抜きん出た存在になったのは
間違いないでしょう。次のアルバムも非常に楽しみです。

My Favorite Song : Trashed And Scattered

Similar Artists : Atreyu,Trivium,Iron Maiden,Dragonforce,The Offspring,Blink-182

2007-01-09

The Thin Red Line - Glass Tiger

Thin Red Line

1986年リリースの1stアルバムです。
カナダはトロントのロックバンド。

カナダといえば、Bryan AdamsとかRushとか。
Harem ScaremやNickelbackなんかもそうですね。

このバンドが演奏する曲の数々も、カナダらしい透明感のあるサウンド。
青く広い空の下、地平線の見える緑の草原で歌っているような、本作の曲を聴いているとそんな風景が見えてきます。
アルバムすべての曲に暖かさが感じられる名盤だと思います。

友人の勧めで洋楽を聞き始めた際に教えられたバンドの一つであり、Bon Jovi,Heart,Genesisなんかに織り交ぜて彼らの曲も聞いていました。
実は本アルバムは初めて自分で購入したアルバムであるわけで、思い入れも少なからずあったんですが…。

本アルバムリリース時は、9.Somedayや2.Don't forget meといった曲がチャートやMTVで上位に少なからず入っていたし、アルバム中にもBryan Adamsがバックコーラスで参加していたりと、結構有名&将来を嘱望されたバンドだったように思うのですが、現在ではネットで探してもこの名を見ることは少ないですね。

今でも1.The Thin Red Lineのイントロのギターを聴くと、洋楽を聴き始めた頃の、あの頃のワクワク感を少しだけ思い出します。
そんなわけで個人的名盤として心の片隅に置いてあります。

Bryan Adamsは勿論、Survivor、Crowded Houseなんかが好きな方も、機会がありましたら聞いてみてください。

ところで持ってるCDのジャケットとAmazonのジャケット違うんだけど、これは日本盤と米国盤の違いなのかな?

My Favorite Song : The Thin Red Line

Similar Artists : Bryan Adams,Survivor,Crowded House

Restless & Wild - Accept

レストレス・アンド・ワイルド

1982年リリースの4thアルバムです。
ドイツのヘビーメタルの代名詞的バンドの一つ。

アナログ盤の針のこすれるノイズと共に、安っぽい演奏とHidee hi de hi da…のかけ声。
それを劈くように、突如ウド独特のダミ声によるシャウトが響いて、ギターのザクザク音とともに名曲Fast as a Sharkが始まるわけですよ。
あー懐かしい。よく聴いたなぁ。

でもこのアルバムを聴いたのは、リアルタイムではありませんでした。
ちょうどいわゆる『ジャーマン・メタル』の名のもとHelloweenを筆頭にBlind GuardianやらHeavens Gateやら、Chroming Rose等々が怒濤の勢いでリリースされていた時期でした。
1990年とかそのあたりですね。

私もこれらジャーマン勢にどっぷりつかっていまして、やはり怒濤の勢いで聴き漁ってましたが、その中で、彼らのお手本となっているのはこの曲だという記述をどこかで目にしました。
ちょうど本アルバムがリマスタか何かで再発されたこともあり、んじゃ聴いてみようかと購入したんだと記憶しています。

その当時の私をして、この曲にはしびれました。
荒々しいスピード感溢れるギターリフにドコドコツーバス音。
こんな以前からこんなカッコいい曲をやっていたのかと…
いや、当時の私だからこそ、より一層ツボだったんだと思います。

でも基本的にAcceptというのはMetalheartに代表されるような、重さと男臭さが滲み出るミドルテンポ中心HMバンドであって、疾走系はどちらかというとこのバンドでは少ない方なのですけどね。
だからAcceptに興味がある方は、まずはミドルテンポのHM曲に魅力を感じられるかどうかがポイントで、OKであればかなり気に入ると思います。
デスメタルで言えば、Amon Amarthなど好きな人とか。

しかしながら、何はともあれこのアルバムはFast As a Sharkなのですよ。
本曲はAcceptのみならず、HMを代表する曲と言っても過言ではなく、聴いたことのない人は是非一聴をおすすめします。

My Favorite Song : Fast as a Shark

Similar Artists : Judas Priest,Manowar,Helloween,Amon Amarth

2007-01-08

Liberation Transmission - Lostprophets

Liberation Transmission

2006/06の3rdアルバムです。
イギリスはウェールズ出身。

このアルバムはHR。良質HR。

このバンド、ベースはハードコアらしいんだけど、(実はこのアルバムが初聴なので前との比較はできないけれど)少なくともここで聴けるのは古き良き80年代ベースの、今風の音のHR。
アルバム全体も曲風はバラエティに富んでいるんだけど、捨て曲がほとんど見当たらない良盤だと思います。

特に4.や10.のメロディは久々にぐっときました。
演奏はアメリカのバンドっぽいんだけど、こういうところがイギリスらしさとでも言うのかね。

同郷のFFAFのようなエモ系ももちろん、Hoobastankなどのラウド系やBonjoviとかEnuff Z'nuff、Lillian Axeなんかが好きでもいけると思います。
分野を問わず、洋楽好きには聴いて欲しい一枚です。

試聴:www.purevolume.com

My Favorite Song : Rooftops(A Liberation Broadcast)

Similar Artists :Hoobastank,Funeral for a Friend,Bon jovi,Enuff Z'nuff
,Lillian Axe