2007-02-18

Blackwater Park - Opeth

Blackwater Park

2001年リリースの5thアルバムです。
スウェーデンはストックホルムが誇るプログレ・デス・メタルバンドです。

昔から曲の激しさというものが大きな特徴であるデス・メタルでは、その特徴を突き詰め演奏の技巧や複雑さを競うようになるのはある意味必然と言えますし、例えばCynicやら現在ではMeshuggahなんかがその代表的なバンドだと思います。そして彼らも技巧派という意味でプログレとカテゴライズされることがありますが、Opethというバンドを説明する際に使用されるプログレという単語の意味は、彼らとは全く違う意味でのプログレッシヴです。

何が彼らと一線を画するかといいますと、一般的にKing CrimsonやPink Floydに代表されるプログレの音楽を、その音楽性自体を本当にデスメタルの中に融合させていることです。デスメタルの過激さとプログレの構成美とメロディ、これが融合された楽曲は、曲によって多彩な色合いを見せ、どちらが好きでも文句なしにかっこよく聞こえます。まぁ全編デス・シャウトではなく、曲の動と静の動の部分を表現する際にデスボイスを使用しているのであって、静の部分はフォークや民謡を思わせるようなアコースティックが入ったりしてそのままプログレ的なアプローチなんですが。動の部分でのリフなんかでも、普通にKing Crimsonが使いそうなリフの上で演奏してたりして、その優れた構成力でただの影響に止まらず自分たちの楽曲として消化している印象をうけます。

特に本アルバムでは、楽曲が一際特異な感覚を持っています。個人的にはそれを一言で言い表すと『浮遊感』だと思ってます。霧に包まれ濁った沼地の僅かに上をふわふわと漂っているようなその感覚は、このバンドの楽曲でしか感じることのできない感覚です。ドゥームともまた違い、ゴシックともまた違う。やっぱりどう聴いてもプログレなんですよ。(またこれがウィスキーやらブランデーやらにマッチしちゃうんですよねぇ。あー)
また、このバンドギターソロがデスメタルでは滅多に聴かれない非常に正統派な音運びをするため、それがまた混沌とした幻想的・浮遊感たっぷりのリフの中に急に切れ込んできたりするので非常にそのメロディが印象に残ります。

特に個人的浮遊感の強いこのアルバムは、非常に私的名盤であり墓に一緒に埋めて欲しいぐらいなんですが、ライブでは最近このアルバムからの曲はなかなかやってくれないみたいですね。まぁ無理もありません。このバンドの曲は1曲10分オーバーなんて当たり前ですからね。このアルバムも1曲インストが2分弱の他は6分弱の1曲を除き全て8~12分…。これもまたプログレからの影響でしょうかね。

そういや、先日Loudparkというフェスにて本バンドはとうとう初来日を果たしました。いや、凄かったです。何が凄いってリズム隊が何気ない顔してさらっと超絶的なフレーズをやるんですよ。ドラムは平然とした顔してるし、ベースは演奏中歌舞伎役者よろしくずっとぐるんぐるん頭回してるし、なんであんなんであんな見事な演奏できるんでしょうね。感動しました。

同じようなタイプのバンドがいない本当に唯一無二のバンドであり、孤高の存在です。プログレ好きは、本バンドが一応デス・メタルであることを割り引いても、聴いてみて損はないと思います。逆にプログレが退屈であまり好きではないという方は、あまり楽しめないかも知れませんね。

似てるバンドとしては、プログレ系からはKing Crimsonと、あとはPain of Salvation、メタル系からは一応Meshuggahを。

My Favorite Song :Bleak

Similar Artists :King Crimson,Pain of Salvation,Meshuggah

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