2007-02-07

The Black Parade - My Chemical Romance

The Black Parade

2006年リリースの3rdアルバムです。
アメリカはニュージャージのパンク/EMOバンドです。

本作はコンセプトアルバムであり、ある人間の死にブラック・パレードが迎えにくるという内容の話になっています。そのためかどうかはわかりませんが、本作品の彼らはそれぞれの曲に説得力がついたように感じます。おそらく、本バンドの曲はボーカルとその主メロが中心となる構成であり、そのボーカルが紡ぎ出す歌詞が、コンセプトによりアルバム全体に繋がる意味を持つことで深さを増したということなのだと推測します。触媒が楽曲にうまく作用したということですね。

今までの作品に較べメロディが明確になり、今までちょこちょこあったメタル調の演奏も減ってある意味非常にポップに聞こえるようになりました。個人的には通常クセのあるタイプの曲をやる方が好みなんですが、このバンドの場合はいい意味でクセが抜けて曲の完成度が増したように思います。

元々はエモ/パンクというよりは、その辺のビジュアル系の一派と大差ない(失礼)バンドであると感じていただけに、この成長というか、普遍的ロックとすら言える作品を提示してきたのには正直驚きました。「死」というヘビィなテーマを、決しておちゃらけてはいないのですが、本バンド特有の軽いイメージで、まるで童謡であるかのような雰囲気に消化してしまうバンドのアイデンティティというか、懐の深さも感じました。バンドの使う主旋律は欧州的な雰囲気を醸し出していたりもするのですが、それをうまく相殺してこういった形に料理できるのは、アメリカの、特にニュージャージのバンドというのも一因でしょう。あとはボーカルのキャラの濃さですかね。

そういった感じで、人によってはQueen的な背景を曲に感じるみたいですが(特に5.Welcome To The Black Paladeとか)、ああいうクラシカルでオペラ的な雰囲気はあまり無いと個人的には思います。どちらかというと、Bon Joviとか(おぉ、ニュージャージー!)Blink-182といった、メロディに哀愁のあるパーティロック/パンク寄りでしょう。音が軽めなので、メタルコアやハードコア系とはちょっと違います。ご注意を。

あと、本アルバムは死にゆく人に対する弔いの曲ではなく、どちらかというとそれを見送る人たちに向けた曲のように思えます。逝ってしまった人は賑やかなブラック・パレードに連れられて、そんなに寂しくはないだろうし悲観することはない。笑って見送って、これからの自分たちの人生を精一杯生きていこうと…歌詞はそんな明るい内容ではないんですけどね。


My Favorite Song : Famous Last Words

Similar Artists:Fall Out Boy,Bon Jovi,Blink-182

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