2007-03-17

Saosin - Saosin

Saosin
Saosin


2006年リリースの1stアルバムです。
アメリカはオレンジカウンティのバンド、ということはAtreyuなんかと同郷ですね。

スクリームを排除したスクリーモというのは果たしてジャンルとして成り立つのかという疑問がありますが、本バンドは一応スクリーモの最終形態という呼称で紹介されることが多いです。ただし曲の中に目立った叫び声は入れられていなく、普通のエモバンドとして紹介されても問題ないと思いますが、確かにこのアルバムを聴く限りでは、スクリーモ側に置いておきたいのも納得出来ます。

曲のメロディや構成はThursdayなんかを想起させる、ある意味フォーマットの知られた憂いのある湿っぽさなんですが、このバンドの特徴はその楽曲に普通にハイトーンボーカルを用いて歌い上げていることにあると思います。正に「歌い上げるスクリーモ」。これによりドラマティックの度合いをスクリームなしで維持し、バンドの雰囲気としてスクリーモ風味を残すことに成功しているんだと思います。

この系統のバンドでは重要なメロディの質もいいし、演奏も実にタイトで、パンクっぽい軽さはあまり感じません。むしろLostprophetsとかHoobastankあたりに近いのではないでしょうか。もし彼らがThursdayをプレイしたらこんな感じの曲ができるんじゃないかなあ。

このバンドを聴いていて思ったのは、そもそもスクリーモというジャンルはバンドの表現力の稚拙さから出来たジャンルではないのか、ということ。もちろん感情の移入や曲の構成からスクリームを楽曲に取り入れること自体は否定はしませんし、効果的に使用しているバンドがあることは認めます。ただ過去に出てきた著名なスクリーモ系バンドがどんどん曲中のスクリーム比率を少なくしてきている事実と、挙げ句の果てには本バンドのような形で表現の質の高さを提示されて、しかもこのバンドをスクリーモという位置づけで定義してしまった場合、結局この手のタイプの楽曲ではスクリームする意味は全くないという結論には至らないんでしょうか?

上記の疑問に答えてくれるバンドは、個人的にはAlexisonfireとかSilversteinだと思っているのですが、今後本アルバムを超えるような質のアルバムを他のスクリーモバンドが提示できなかった場合、スクリーモというジャンルは過去の遺物として葬り去られていくでしょう。その意味である意味最後通牒のような意味合いを持つアルバムでもあります。

北欧やアイスランドあたりの北の方のバンドが持っている冷たい寂寥感も有した希有なバンドだと思います。ただ雰囲気としては冬というよりは寒い夏。そんなわけで是非聴いて欲しいアルバムですね。ちなみにジャケットのカブトムシはあまり気にしない方がいいと思います。

My Favorite Song : Follow the Feel

Similar Artists: Thursday,Silverstein,Lostprophets

0 コメント: