2007-01-21

The Jester Race - In Flames

ザ・ジェスター・レース

1996年リリースの2ndアルバムです。
スウェーデンはイエテボリのバンドです。
ブルータルなリフとブラスト・ビート、デスボーカルに叙情的なメロディの、むしろ主メロを担当するギターが切れ込んでいくというメロディック・デスの一つの型を確立した存在であり、また、近年のメタルコア系バンドに大きく影響を与えているバンドです。現在も現役ばりばりで活躍していますね。

ところで、私は実のところここ最近の彼らのアルバム数作に魅力を感じていません。現時点での最新作である8thアルバム『Come Clarity』は、一般的な評判は概ね良好であり、久々の傑作との評価を得ているようですが、そのアルバムでも、私がまだきちんと曲を理解していないのかと思って数回聞き返しましたが、やはりそれでも昔のような魅力を感じませんでした。

勿論決して聴くに堪えないというわけではなく、その意図も存在意義も含め、曲に関しても非常に高品質の出来だとは思います。がしかし、それでも個人的に『Come Clarity』を今後繰り返し聴くことはないと思うし、彼らに私が求めているのはこれでははないという気持ちがあり、どうしても受け入れがたくなってしまっているのです。

私が今のIn Flamesに足りないと思える要素、それは「美しさ」です。牧歌的ですらある叙情的メロディの(一歩間違えればクサい)ギターリフ。当時のこのバンドの場合、そのリフ自体が曲の主メロになるのですが、このギターの奏でるメロディを中心とし、他のパートが混然となって哀しく、激しく、そして一番重要な「美しく」曲を作り上げるというのが当時のメロデスの特徴であり、その中でもその特徴が一際際だっていたバンドであるだけに、現在の曲からこの美しく哀しいという要素が薄れているのが非常に残念であり、別の意味で哀しくなってしまうのです。

『The Jester Race』ではその泣きの要素が全体を通して溢れんばかりに充満しています。4.Moonshieldのような彼らにしか書けない独特のワルツ・メタル、5.December Flowerのような、デス声で無ければ様式美と言っても全く遜色ない曲構成、1.Dead Eternityのイントロからのハイ・テンションぶりには初めて聴いたときは鳥肌が立ちました。それでいて全ての曲に共通する哀愁に溢れたメロディは、正に「血の涙」と形容するにふさわしい雰囲気をアルバムから醸し出しています。

本アルバムに続く3rd『Whoracle』から5th『Clayman』までは、曲にその血流が脈々と受け継がれていました。しかしながら、アメリカ市場を意識しスタイルをあえて変えたと思われる6th以降は、個人的には私が彼らには求めていないスタイルでした。それが悪いとか駄目だと言うつもりはありませんが、ただ少なくとも言えるのは、私の好きなバンドが私の好みとは違う方向を向いてしまったということです。

もうあのころの数々の曲に感じた冷たい高揚感を、激しいリフの中で浮遊する心の琴線に触れるメロディを彼らから再び聴くことはないのだろうか…。本アルバムを聴くたび、完成度を実感するたびにそう思い、でも新しいアルバムがでるたびに、また期待してしまうのです。

似ているアーチストですが、現在の曲調であればメタルコア勢やSoilworkなのですが、本アルバムで比較すると、AmorphisやEdge of Sanity,Dimension Zeroの作品群が近いアルバムと言えるでしょう。

My Favorite Song : Moonshield

Similar Artists: Amorphis,Edge of Sanity,Dimension Zero

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